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VS刃

当社ワイヤーストリッパーで使用しているVS刃は、外皮に刃を入れる際やストロークする際に、刃のテーパーの影響を少なくすることについて検討された刃型です。

刃のテーパー部の影響

調整刃によるV刃は、2枚の刃を背面同士摺り合わせて、電線内皮の空間を保つように刃型を閉じて皮剥きします。

1)電線外皮に刃型を入れる
2)1の状態で刃をストロークし剥離する

上記の動作を行う際に、調整刃の場合は刃部の斜面(テーパー)の影響が発生します。

刃のテーパー部の影響

このテーパーの影響は、V刃ではなく平刃で想像すると、わかりやすくなります。

1)の動作の際には、テーパー部で電線を回転させる力が発生しています<図1>。
2)の動作の際には、電線を傾斜させる力が発生しています<図2>。

従って、2枚の刃がこれらの動作を行うとき、刃のテーパーによって皮剥き行程に悪影響(下刃で電線内皮に傷を付けてしまう等)が発生することが確認できます。また、このテーパーの影響は外皮が厚いほど発生します。


VS刃の形状

V刃の場合は平刃に比べこの影響が減少しますが、まったくなくなることはなく、少なからず悪影響が出ます。

  • 刃のテーパー角を鈍角にすると影響が大きい<図1>
  • 刃のV字形状の角度を鈍角にすると影響が大きい<図1,2>

従って、刃のテーパーを鋭角にし、V字角度を鋭角にすることで、この影響が小さくなります。ただし、「刃のテーパーを鋭角にすると強度が低下する」「V字形状を鋭角にすると内皮径が大きい場合不適用」という新たな問題が発生します。


VS刃の特徴

VS刃は、刃のテーパー角度を鋭角にし、刃先を多少鈍角にすることで強度を保持。また、V字形状の角度を鋭角にし、刃底をR(円)状にすることで、内皮径の大きい電線にも対応できるようにしています。これらのことを理解し、この長所を生かした設定をすることで、本来のVS刃の特徴が生かされます。

VS刃の特徴

左図のA刃はVS刃の角度で、B刃は一般的に利用されている刃です。電線の外皮に刃が入った状態では、B刃の方が均等性があり、内皮に適した刃の入りをしています。


テーパー影響力

しかしながら、この状態で刃をストロークさせると、赤い矢印の力が電線にかかり、電線を傾斜させる力となります(図内「テーパー影響力」)。この力はA刃の方が小さいので安定した剥きができますが、B刃の状態で問題なく剥ける場合は剥き口がA刃に比べ綺麗になります。

VS刃は安定した剥きを目的として設計されていますので、A刃のようなV字形状をしています。B刃のような綺麗な剥き口は、刃底Rの形状で対応できます。


VS刃の調整方法

VS刃の調整方法

テーパーの影響は、刃底が外皮に切り込んだ状態でストロークする時が一番大きくなりますので、VS刃の調整は次のような考え方で行います。

1)刃底Rで内皮まで刃を入れる
2)刃底が外皮から外れるように、逃がし量を設定する

左図はこの行程を図にしたもので、このように外皮のほとんどに刃を入れ、外皮の側面に刃を引っかけてストロークすることで、テーパーの影響を防ぎ、綺麗で安定した皮剥きができます。

もし、内皮径が刃底R形状より小さい場合は、ストロークする場合にテーパーの影響を多く受けますので、最良な皮剥きと最悪な皮剥きの条件が近似していることも理解してください。


SA-366型のVS刃選択方法

SA-366型でVS刃を選択する場合には、

1)最小のV2S(刃底R1)を使用し、皮剥きテストを行う
2)もし剥けない場合は、電線内径より若干小さめのVS刃を選択する

この手順で行うことを推奨します。

VS刃は、刃底RがR1〜R15まで0.5刻みでありますが、通常はV2S・V6S・V10S位の種類でφ2〜15までの電線剥離ができます。SA-366型のVS刃の早見表もありますので、参考にしてください。

SA-366型 VS刃設定早見表(pdfファイル)


調整刃の限界

電線は、硬さや形状・材質・密着度など、多くの種類とばらつきがあります。すべての電線を調整刃で行うことは不可能と考えています。

本来1種1様の刃型が理想ですが、よりよい調整刃について研究をしています。当社では、V字形状の調整刃でテーパーの影響がほとんど発生しない、X(クロス)刃も完成しております。一度お試しください。

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